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小野川温泉
  山形県米沢市。戦国の世に一人孤高の覇を唱えようとした上杉謙信が志し半ばで病に倒れ、その意志を受け継いだ養子・上杉景勝とその右腕直江兼続の終焉の地となったこの古都には魅力的な観光ポイントが沢山あります。そして温泉的に見れば米沢には『米沢十湯』という言葉があり、文字通り10の歴史ある温泉地が市内に点在しています。有名なものだけピックアップしても『白布温泉(開湯700年)』『大平温泉(開湯1150年)』『五色温泉(開湯1350年)』などなどそうそうたる顔ぶれですが、このレポートの米沢10湯の一つ『小野川温泉』も“平安時代の小野小町が開湯した”と伝わる1200年の歴史を持つ温泉地です。
  小野川温泉は米沢市内といっても、市街地にはなく、JRの駅から南西方向におよそ10キロほどの場所にあり、マイカー利用が便利です。米沢市は市街地を離れればその広大面積の半分くらいは急峻な山岳地にあたり、件の10湯も多くが山の中腹など交通が至便とはいえない場所にあり、小野川温泉もその例に漏れません。山が目の前に迫り、平地にありながら自然に包まれた温泉気分を味わえます。多くの旅館や飲食店からなる大規模な温泉街は前述の小野小町ゆかりの歴史ある共同湯や湯小屋そのものがいかにも共同湯らしいシンプルさと古さを持った共同湯など3つの立ち寄り湯を有し、山裾なので湧水も湧くほどの自然環境で、共同湯巡りをしながら、お店や足湯を冷やかすと言った楽しみ方が出来ます。湯は軽く硫黄の香りが漂ういわゆる“卵臭”の温泉でここでも温泉情緒が倍増されます。


小野川温泉の歩き方
 小野川温泉には公共の無料のPがあり、トイレも24H使用でき、またPの敷地内に足湯もあって実に快適な車中泊をすることが出来ます。共同湯の利用時間の長さや料金の手軽さもさる事ながら、車のすぐ横に足湯があると夜寒いとき、またもう一つ体がさっぱりせずタオルでふきたいときなどとにかく便利です。ここに車を止め、温泉街を歩きましょう。共同湯までは徒歩5分程度です。そのほか湧水・夏ならば蛍の群れ飛ぶ川沿いの遊歩道・温泉水利用の農業(温泉熱を利用した小野川もやしなるものをハウス栽培みたいな形でおこなっています)などの見学がお勧めです。

足湯。P内にあります。


ちょっと寄り道
 小野川温泉は米沢の市内から10キロメートル程度の所にあり、小野川温泉で食事しても(滝之湯並びの弁天食堂は激安です)いいのですが、米沢で食事してから移動してきても十分です。米沢は城下町であるというだけでなく、食の面でも様々な顔を持っています。お菓子もおいしく、もちろんキャンプの方ならば米沢牛で焼き肉やしゃぶしゃぶも実に贅沢です。しかし、最近ご当地ラーメンとして「米沢ラーメン」がちょっと目立ってきています。私見ですが、現状では、味に疑問の残る喜多方ラーメンよりこちらの方が実力は上だと考えております。ぜひお立ち寄りの際には食してみてください。


米沢ラーメン
  米沢ラーメンの店、お堀端「さっぽろ」です。文字通り米沢城趾のお堀に面して立っており、これぞ「お堀端」という感じです。魚のだし系の味のスープは中華風のアレンジがされてとてもおいしくまた、値段が安いのも魅力です。

  この店では中華そば並500円、大盛り600円、更に150円増しでセットにもできます。セットとはライスに唐揚げ2個です。ラーメンの大盛りセット750円は恐らく食べきれるのに覚悟が必要です。
  このお堀というのは上杉城址のことですが、この城址の前には城址園があって、レストランとおみやげのお店になっています。ここはPが車中泊の場所としては最高で、トイレもあり、コンビニも近く、欠点としては近くに温泉がないことくらいです。おみやげもご当地品としてはかなりおいしいレベルの高い物が多く、お菓子(和菓子)、せんべい、フルーツの加工品(ジャム)、米沢牛の加工品などどれもおみやげにしたら喜ばれそうな物ばかりです。
  ラーメンは手打ちでちぢれめん。でもそばもうどんもやっているという何でも屋さんです。
  ここは携帯温泉道みたいなことをしています。ラーメン屋を巡るラリーです。


共同湯
滝の湯   小野川温泉の代名詞と言えば、下記の尼湯ですが、当研究所としては滝の湯を推します。外観は普通ですが、浴室は共同湯ファンならば涙ものの渋さで、実にいい味を出しています。湯は軽く硫黄臭がし、ツルスベの柔らかな湯で長湯してずっと浸かっていたくなるものです。男女別。
  5時〜22時200円。
尼湯   小野川温泉のシンボルにして代名詞ともいえる共同湯です。その歴史は圧倒的に古くなんと平安時代の小野小町縁といいますから、実に1000年以上になるわけです。この共同湯は建物の前のお店で入浴券を購入して入浴するシステムですが、脱衣棚の自分のかごの前に一人一人券を指す切れ込みが入っており、この切れ込みに入浴券を差し込んで入浴するルールとなっています。男女別の浴槽は美しく、湯が実にきれいに映えます。
   5時〜22時200円。


滝の湯
  米沢から小野川温泉を目指すと温泉街に入ってすぐ右側にPがあります。Pから温泉街に戻り、来た道と反対方向に1〜2分歩くと左手にこの滝の湯があります。正面のコンビニにて200円払い、券を買ってから中に入ります。

  小野川温泉というと尼湯が有名ですが、当研究所のいちおしはこちらです。
  柔らかで、しっかりした硫黄臭が香る湯です。汗が噴き出してくるほどのあったまりの湯で、なかなか長湯するのにはこつがいりますが、それでもすぐ出てしまってはもったいない湯なので、結局洗い場に陣取りながら、使っている時間と出ている時間どっちが長いのだろうという感じの湯浴みをしています。
 おもしろいことに湯口は壁から直に湯が出ているようになっています。
 こんな感じです。まるでここで湧いているかのようです。
 湯は軽く湯ノ花が舞っていますが基本的には無色透明です。





  下
 初めていったとき、中で小学生が遊んでいました。私が扉を開けるとよほど後ろめたかったのか、中で叫び声がして、更にかなり大きなどたばた音がして、開けてみたらじっとこちらを伺っていました。まあ、ほほえましかったので、このあと一緒に中で遊びました。桶が浮いているあたりで察してください。



尼湯
  尼湯です。滝之湯から更に温泉街を奧に向かって歩くと徒歩2〜3分で着きます。ここはロータリーの真ん中に位置しており、周囲のぐるりが全て車道になっています。画像の正面入り口の右手にある酒屋さんで200円払い券を買います。
  尼湯の歴史は古く、古文書に寄れば、なんと小野小町ゆかりだということです。本当ならば、1300年ほどの歴史があることになります。
  滝之湯もそうですが、ここ小野川温泉では、券を買うことにはきちんとした意味があります。それはこの様に入浴中も券を提示しておく券差し場が設けられていると言うことです。最後に退場するときにこの券を下の箱に入れます。
  こちら尼湯は脱衣所一体タイプです。なかは明るく清潔で、まあ、一般的にはこちらがお勧めとなるのでしょう。
  こちらは我慢大会になるくらい熱い湯が特徴です。
  このように常に湯は注ぎっぱなしです。

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