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上山温泉
 上山温泉は「うえやま」でも「かみやま」でもなく「かみのやまおんせん」と読みます。東北の温泉ファンでも共同湯に特段興味がない方には耳慣れない温泉かと思います。しかし、東北においては飯坂温泉や大鰐温泉と並びたくさんの共同湯のはしご湯が出来る外湯の町としてつとにぬきんでた存在がここでご紹介する上山温泉なのです。。
 上山温泉は山形市の南に位置し、「蔵王温泉の入り口」と言っても良いロケーションにあります。かみのやま温泉は別名「鶴脛の湯」とも呼ばれ、「西暦1458年、肥前の国(現在の佐賀県)の月秀(旅の僧)が、沼地に湧く湯に一羽の鶴が脛を浸しいる姿を見た。やがて傷が癒えた鶴は飛び去っていった。それが、かみのやま温泉発祥の地」と伝えられているそうです。市内には地区ごとに、湯町、二日町、新湯、高松、葉山、河崎、など数多くの温泉地があり、それらを総称して「かみのやま温泉」と呼んでいます。新湯、湯町の界隈は城下町として栄え、いたるところに往時の面影を残す蔵や屋敷が佇んでいます。泉質は特段癖のある湯ではなく無色透明無味無臭です。また統合源泉も多いことから湯と泉質にこだわる温泉ファンにはやや物足りないかもしれません。しかし、どの共同湯もロケーションや内部の施設・湯船の形などが個性的で、シンボル的な要素を持つ“下大湯”を始めとして、隠し湯系の共同湯、立派系の共同湯まで7つの共同湯があり、訪問者を待っています


かみのやま温泉の歩き方
 上山温泉の共同湯はPを持たないものが多く、普通車以下の大きさの車の場合、基本的にはそばまで行って路駐と言うことになります。しかし、当研究所はいつも大型車を基準に話をしますので、今回もそれに習います。大型車のPにふさわしいのは「下大湯」前の商店街の無料Pか、もしくはそこからすぐ上の視界に入っている上山城の無料Pかどちらかが停めやすく便利です。言うまでもなく「下大湯」前ならば即入浴できますので入浴に便利、逆にお城のPには24Hのトイレもあり、Pそのものが区画のないフリーの砂利Pなので車中泊に向いています。当研究所はその日の予定で使い分けています。両Pとも直線だとかなり近距離にありますが坂というか崖というか、とにかく高低差に阻まれていて回り道して行き来することとなります。基本的に国道13号から見るとPも多くの共同湯も県道と国道458号に挟まれたエリアのJR上山駅を背にして右の方に集中しています。


かみのやま温泉の全体像
 上山温泉は実際には上山温泉郷と言っても良い、主に4つの温泉からなっています。4つとは「上山」「葉山」「高松」「河崎」のそれぞれの地区の事です。このうち現段階では後者2つ(高松地区と河崎地区)には共同湯が発見されておらず、また葉山にも一軒あるだけなので後は全てPから歩ける範囲に6軒集中しています。


温泉街の風景
       上
  下大湯から山手側に坂を上がってまっすぐ行くとやがてこの山城屋が見えてきます。上山で最も優美な風情をたたえる旅館です。

      左
  この旅館を通過したら左折します。すると今度は湯治旅館として雛美系ナンバーワンの松本屋が見えてきます。ここはクランクになっていますので、右に行きすぐ左すると下のような風情のある足湯ポイントがあります。
  ここは上山温泉発見の伝承が残る泉源を利用した足湯ポイントです。
  上山温泉は鶴が泉源発見に関わったと伝承されていてお城の中でも同じ記述を読むことが出来ます。この横には飲泉所もあり、更にその横ではお参りも出来ます。
  下大湯のすぐ横にあるお寺に上がる坂の途中にある手水場、ここにも温泉文化が有ります。
  洗心の湯と言います。


湯上がりそば
  新湯共同湯の近く、ホテル有馬館前のそば屋「みつひろ」です。信州へ修行に行かれたという若旦那のそばは山形には珍しい細めのしゃっきり麺、関東の人間には嬉しい掛け値なしの信州そばです。偶然通りかかり見つけました。この天ぷら4品と漬け物もついた天ざるが900円前後の値段でとにかく安く且つおいしかった記憶が鮮明に残っております。
  麺は極上ものでした。つるつるとした舌に残る食感、そばはのどごしが信条という言葉が実感できる麺です。(山形そばは太くごつごつした田舎そば系が多く、それはそれでそばの香りが力強く伝わっておいしいのですがやはり当研究所は信州そばのほうが“より口に合う”のです)


かみのやま温泉の共同湯
下大湯  400年の歴史を誇る上山温泉のシンボル的存在の共同浴場。建物は2階が休憩場となっているので外観は公民館風だが、浴室は天井が高く、また湯船も巨大で上山温泉の湯の豊富さを物語ると共に、良い風情を醸している。九州にお住まいの方は不老泉か浜脇温泉を想像してください。ただし、洗い場はとっても狭いです。
  上山の共同湯はほぼ全て同じ営業時間と料金です。
    6〜22時。100円。
新丁共同湯  下大湯から県道(バス通り)に出て左に行き、徒歩5分ほどでバス亭「新丁」に着きます。ここを左折すると“新丁共同湯・鶴の湯”があります。(なお、ここを含めて以下の6つの共同湯は下大湯にてパンフレットを入手してご訪問下さい。温泉街の簡易マップなどがないと若干見つけにくいところが多いです。)青い青い美しいタイルが湯の色まで何となく青く見せる実に美しい共同湯で浴槽は深く、中腰ではいることになります。
湯町共同湯  上記のふれあい足湯があるポイントを更に先に100メートルほどいくと有ります。典型的な隠し湯系の共同湯で細い路地の先にあり、小さな看板以外には共同湯の存在を示すものは有りません。
中湯  中湯は駅に一番近い共同湯です。下大湯からだとバス通りを横切り次の角を右に曲がったほどの所にあります。公民館かもしくは福祉施設系の外観です。
新湯共同湯  新湯は上山でも有名系のホテルが密集した地域にある隠し系の共同湯です。湯町と新湯はよく似ています。
二日町共同湯  こちら外観のキャッチフレーズが何とも良い共同湯です。当研究所初めていったときは臨時休業、2度目は定休日と近い場所ではないのにさんざんじらされました。ところが期待も最高潮にふくらんだ所で蓋を開けてみれば上山で唯一の塩素温泉でした。循環かどうかは分かりません。
葉山公衆浴場(寿荘)  こちら上山で唯一駅から徒歩では辛い場所にあります。上山温泉の葉山地区では最も有名な旅館「日本の宿 古窯」のそばにありました。過去形を使っているのは、厳密には葉山公衆浴場と称していた建物は老朽化のため取り壊され現在はないからです。ところがこの公衆浴場の2階にあった老人福祉施設内の日帰り湯が取り壊しと同時に代替施設として機能を始め現在は料金も下げられて利用されています。いずれ名称も変わるかもしれません。
  6〜21時。100円。


下大湯
  威風堂々とした佇まいの下大湯。今私が立っているのがPです。 徒歩20秒。
これで100円温泉が目の前です。   自称公衆浴場ですが、どちらかというと共同湯よりです。湯船がもうちょっと小さいと完璧共同湯なのですが。
  湯船は巨大で実に贅沢感を味わえるものです。   基本的には熱い時の方が多いです。(イメージ浜脇)
   東北にお越しの際には嫌でも国道13号を多用します。ついでに寄るのが簡単です。共同湯ファンなら一度はどうぞという感じの場所ですので、ぜひどうぞ。
  縦横とも洗い場は非常にせまくおもしろいバランスです。



新丁共同湯(鶴の湯)
  下大湯以外の共同湯はそれぞれ地区の名称以外に、愛称が付いているところが多いです。


  ここ新丁は「鶴の湯」といいます。
  7つの共同湯の中で最も美しい浴槽を持つ共同湯で、浴槽が深いのも特徴です。中腰で入らなければなりません。
  美しい青タイル。湯には色は全くありません。


湯町温泉(ゆまちの湯)
  ここはゆまちの湯の入り口です。湯町と新丁は隠し湯系でここも路地は細く、車通りからは湯小屋は見えません。
  この奧が共同湯ですが、まだ見えません。
  空が美しい日でした。何となく前衛的な建築物に見えますが、右のコンクリートの湯気抜きが浴舎です。
 しつこくもう一枚。





 湯船はまん丸で巨大です。



中湯(能閑の湯)
  中ノ湯はほっとする感じの共同湯です。他の個性的なところからするとやや大人しめかもしれません。
  上山城が浴舎の後ろに見えています。お城は比較的高台にある(お城は小さなお椀を伏せたような高台にある)のであちこちからお城が見えます。画像を載せませんでしたが、下大湯のPも振り返るとお城が見えています。  
  湯船は細長い形でした。




新湯共同湯(澤の湯)
  新湯の入り口もこの電柱以外には表記がありません。
 またまた細い路地です。
  所が裏に回ってみるとこちら側は一応車道側でした。  
  ここは浴室の直前が番台さんになっています。上山の大きな特徴として、全ての浴場で自動発券式の機械があるということです。折角人が番台さんにいるのに、入浴料100円程度で機械の導入の必要があったのでしょうか。
 ここもまん丸でした。
  でも大きさは湯町に比べると小さいです。  


二日町共同湯
  本当にいい感じです。あいさつ浴場、いかにも共同湯らしい。
  ここまできて胸が高鳴りました。きっとここも素晴らしいに違いないと。
  ところが意外や近代的なエントランス。聞けば立て直したばかりだそう。
なんと塩素爆発でした。

葉山公衆浴場(寿荘)
  葉山温泉はJRの駅からはかなり離れたところにあります。
  そして以前はこの画像の場所が公衆浴場でした。いまは老朽化のため、取り壊されその跡地は休憩スペースとなりました。
  そして、この休憩スペースの前が足湯と飲泉場となっています。見晴らしが良くちょっとした休憩ポイントです。
  この寿荘は以前は公衆浴場の2階部分の老人福祉施設でした。公衆浴場となる前から日帰り入浴はできましたが、いまはここが葉山公衆浴場となり、入浴料金も値下げされました。  
  高台で眺めも眺望がきき、上山の共同湯としては異色の存在です。  


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