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蔵王温泉
  蔵王温泉は山形県の山形市の東に位置する名峰蔵王連峰の中腹にある温泉です。日本には「日本三大古湯」なるものがあり、温泉と人との関わりが千年以上もの歴史を刻んでいるという事を示しています。そして実はこの蔵王温泉も相当に古い歴史があると伝わっていますが、なぜか前述の日本三大古湯なるものには蔵王温泉の名がありません。ところが蔵王温泉の名の由来は「蔵王温泉は西暦110年頃の発見と伝わります。その発見談にはなんと伝説の日本武尊まで登場してきます。(日本武尊は架空の人物とされています)ただ、実際の発見者はその部下の「吉備多賀由(きびのたかゆ)」という将軍であり、その名前をとって古くから最近に至るまで蔵王温泉を「多賀由(たかゆ)温泉」「蔵王高湯(ざおうたかゆ)」と呼称していた。そして戦後になって観光地としてのさらなる発展を期待され、古くからの山岳信仰の対象であり、平安時代中頃には吉野の蔵王堂より蔵王権現を勧請してもらい、蔵王山頂にある刈田岳神社と、麓の刈田嶺神社に併置したところから名前の由来がきている“蔵王”の名にちなんで蔵王温泉とした」というものなので、あながち発見談そのものも眉唾とは扱えないようです。
  蔵王温泉は個性(強酸性でPHは1.5。驚異的です)が光る湯が自慢の温泉地で、山の斜面に広がる温泉街は強い硫黄の香りに包まれ、標高900bの場所にあるおかげか涼しい風が吹いています。湯は歴史ある共同源泉(酢川源泉)も3本もありますが、そのほかに敷地内や山の斜面に自家源泉を持つ独自源泉宿も多く、温泉ファンにとっては研究心が尽きない場所です。また当研究所的には超一流の3軒の共同湯が楽しめる全国的にも珠玉の温泉街であるといえます。

こけし
1200円
温泉街散策の知恵
 知恵というのは大げさかもしれませんが蔵王温泉で共同湯を目指して来られた方はこけし上の画像を購入されてはいかがでしょうか。もちろんこけしといっても飾り物のおみやげなどではなく、観光協会で販売している一種の「湯巡り手形」です。(ご存じの方は有名な黒川温泉のシール式を思い浮かべてください。)ここ蔵王でもやはりシール三枚付きで1200円。加盟旅館数十軒の中から3つまで入浴できるので一軒あたり400円(普通だと500円くらい)とお得なのですが、もちろん激安温泉大好きの当研究所、この程度の料金ではお勧めなどしないのです。このこけし、実は旅館に対しては確かに上限は3軒までですが、これとは別にシールなしでも『こけしの所持者は200円の共同湯に無料で入浴できる』のです。つまり、ここで本来共同湯入浴で支払うべき600円が浮きますので、残り(1200円引く600円)は600円相当ということになり、これで旅館3軒をはしごすると・・・・つまり元々500円くらいはするであろう“近代的なホテルの見晴らしの良い露天”や“雑誌によく載っている普段あまり激安人間には縁のない豪華な内湯”に一軒あたりわずか200円で入れてしまうのです。当研究所はすでにこけしを複数(3回使用?)所有しています。みなさんもいかがですか。

車はロープウェイ駅付近に置きましょう。スキーのハ
イシーズン
(1月〜3月)以外は無料です。(体育館にも置けます)

共同湯
上湯  蔵王温泉でも、えび屋さん、たかみ屋さん、おおみやさん、ことぶき屋さんなど独自源泉を持つシブめの旅館に囲まれた温泉街の中心的存在の共同湯です。Pからは山形市方面に車道を歩き観光案内所付近で上り坂方面に向きを変えます。上に上げた旅館名(特におおみやさん)を目指していくとつけます。
   概ね三軒とも6時から22時。200円。
下湯  上記上湯のある細い路地のやや下手にある共同湯。Pから行くと大概は先に下湯が目にはいるはずです。上湯とは似た作りの施設ですが、こちらには以前蔵王の歴史を知るのに重要な「蔵王高湯 酢川霊泉」の碑と源泉湯貯めがありました。が、最後に訪問したときはなくなっていたような気がします。
川原湯  蔵王温泉の頂点をなす共同湯。必ず一度は訪問してほしいです。詳しくは当研究所内のテーマ別コンテンツ・足下自噴泉をご覧ください。


上湯
   上湯です。周囲を蒼々たる旅館に囲まれた中心にあります。お賽銭式200円。
   強酸性泉の場合、湯小屋・湯船ともに材質は石や木など腐食しないものに限られます。そしてここ蔵王ではご多分に漏れず全て木でできています。特に洗い場が木でできているというのは肌触りが良く、本当に贅沢で高級旅館の面もちです。
   うっすらと粉雪のような湯ノ花が堆積します。湯はとにかく濃いです。


下湯
   下湯です。同じくお賽銭方式で200円。湯小屋の右で湯気を上げている(下の画像)のが「酢川霊泉」です。
  これが酢川霊泉です。熱くてとてもさわれません。
吸い込まれそうな美しさです。
  右:柱の根本をくりぬき、源泉が注ぎます。

  下:湯船です。

  すみません。この2枚とも湯気がどうしても払えず美しくありません。画像お持ちの方ご寄付ください。



川原湯
   川原湯です。同じくお賽銭方式で200円。蔵王が日本に誇る独自源泉にして足下自噴の共同湯です。熊本の奴留湯、大分の壁湯、秋田の大湯などと共に本当に貴重な存在です。
  湯量が多いのが目でも確認でき実に贅沢、木の感触もたまりません。
吸い込まれそうな美しさです。
  全て木でできた建物というのはどうしてこうも人を惹きつけるのでしょう。




番外編
   蔵王は独自源泉を持つ旅館を含め、すばらしい湯船を持つ施設が多いので、こけしで回った範囲でレポートします。


ホテル ヴァルトベルグ
  ヴァルトベルグは高台に立つ美しい施設です。普段なら当研究所、まず近づかないハイソな香りがするのですが、今回ばかりは自分の中の優越感が沸々とわき上がってきます。本当は激安入浴なのに(こけし利用だと1軒に付き200円相当)。こけし利用による入浴者であっても、どこの宿泊施設も気持ちよく迎えてくれます。
  ここのお湯はとにかく色が美しく、現在蔵王の10数軒の入浴経験の中では間違いなくトップです。
いい色です。 
 内湯も全く同じ。ホテルらしくシャワーとカランその他アメニティなど贅沢な充実ぶりでした。

海老屋
  海老屋さんは独自源泉宿です。

  左  露天です。浸かった瞬間底におびただしい湯ノ花が溜まっていました。次の瞬間ひたすら攪拌に走りました。湯ノ花で白くした温泉ですが、元々からのもので混ぜものはないのでご容赦のほどを。通常の湯はいつもこの濃い白い色ではありませんので行かれる方は注意してください。ちなみにここまで共同湯を含めて5軒はしごして最後の六軒目だったので、この攪拌は湯の熱さとともにとにかく疲れました。(この後湯あたりし車でダウン。2時間も眠りこけて辺りは真っ暗に!)

  下  内湯です。美しすぎます。

堺屋旅館
 上湯共同浴場の真ん前にある独自源泉宿です。
  堺屋さんには立派な大浴場もありますが、ここは事前情報から地下に源泉風呂があるとわかっていましたので、お目当ては右の画像の湯船です。ここは旅館側があまり勧めていないのか、リクエストしないと連れて行ってもらえません。そしてあまり入る人がいないためか、とにかく熱くて、痛恨の加水となりました。源泉投入をゴム管でバイパスしても容易に下がる温度ではなかったです。
  しかし、ずっと貸しきりで、ものすごく楽しい時間でした。

寿屋
 寿屋さんも独自源泉宿です。とにかく目立つ高台の旅館です。男湯と女湯で湯船の大きさや見晴らしにものすごい差があり、今時珍しい男性上位の宿です。(というか古くからの宿なのですね。きっと)ここもあまり人が来ないのか、激熱でした。しかも水道は限りなく水圧が弱く、湯船は見た目以上に巨大で本当に加水が焼け石に水、腰までしか入れませんでした。再訪必至です。

 加えて、本当は見晴らしも良く、ヴァルトベルグに次ぐ青く美しい湯なのですが、すみません、どうやっても曇りがとれませんでした。

   美しい画像募集中です。
   女湯です。隠し系の共同湯のような閉塞感でした。当研究所は結構好みでしたが。

蔵王国際ホテル
  蔵王国際ホテルは渓谷沿いの宿泊施設の中で最も目を引く露天(最下段)を持つホテルです。   
   このように渓谷の中腹にあり、ホテルからも階段を下りてアプロウチしていきます。
   美しいエメラルド色の湯と周囲の白い雪とのコントラストに酔いしれます。
  右:内湯です。

  下:渓谷の正面にまわりズームで撮りました。


高見屋
   高見屋さんは自遊人のパスポートで無料入浴させていただきました。この旅館は従業員の方の受け答えもしっかりしており、無料入浴なのにたくさん親切にしていただき、また、内部の雰囲気、旅館の作り、湯の良さなども併せて宿泊してもまず間違いはないだろうという印象を持ちました。
露天風呂です。
内湯です。


大平ホテル
   大平ホテルにはずっと憧れていました。私が25年前に初めて購入した温泉の本にこのホテルの露天風呂の写真が載っていたからです。ようやくその露天とあうことができます。
   貸し切り湯です。時代の流れなのでしょうか。私が憧れていた露天の他にも露天がありました。
   内湯です。奧のガラスの扉をあけ、、細い通路を通っていよいよ露天に出ます。

   余談ですが、内湯は上がり湯用に水道の沸かし湯が入っており蔵王の湯が入っていません。
   見晴らしがもっと利くはずだったのですが、突然吹雪いてきてしまいました。もちろん湯船の中から全く出られません。ものすごい風です。
美しい湯が満ちます。


更に番外
わかまつや寮
  温泉街を散策している方なら必ずと言っていいほどこのユニークな形の建物が目にはいるかと思います。温泉ファンならば上方の湯気抜きの存在によりすぐ湯小屋だとわかるかと思います。   ここは以前まで日帰り入浴ができた施設でしたが、現在では入浴ができません。
  女湯です。内部は外見ほどユニークではありませんでした。
男湯です。
この湯です。現在でも外からなら湯に触れることができます。

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