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天空温泉 @

蓮華温泉
  新潟県・長野県・富山県の県境にまたがる日本アルプス。中でも長野県最北部に位置する白馬村に名を冠する白馬山系は秀逸な登山ポイントして日本有数の場所だ。蓮華温泉はそのような山々に囲まれた長野県と新潟県の県境付近に位置する雲上の楽園・天空の別天地である。
  しかしロケーション的には本来“山屋さん”にのみ許される歩いてしか行けない温泉・・・・といっても過言ではないイメージのあるこのエリアではあるが、実は車で手軽に行けるお気楽ポイントでもある。リンクしてあるマップを参照して頂きたいが、JR大糸線の平岩駅から山岳に分け入る林道は蓮華温泉ロッジの駐車場まで続いており、若干道が細い場所もあるが、普通車でも難なく行ける舗装路が続き、「行きにくい」という印象はみじんも感じさせない。ただし、林道は平岩駅より21qの道のりであり、普通車といえども裕に30分はかかる距離なので余裕を持った行動が必要である。(特にすれ違いもできないほど細いポイントも少なくないので速度を一層控えめにして進むことをお勧めする)。また、温泉を楽しむ場合にも湯船は登山道とも言って良い総延長1.5qの遊歩道沿いに点在しているので、最低でも車での往復1時間(マイカー利用の場合)+入浴1時間30分(まあここまで来て短時間で帰る方がいるとも思えないが)程度の所要時間は見た方がよいと思う。紅葉のシーズンや行楽シーズンの週末には思うような順番で入浴コースをたどれない場合もあるかもしれない。よって日帰り利用の方はとにかく遅くも12時までにはロッジに到着していたいものだ。
  蓮華温泉は「蓮華温泉郷」と呼んでも差し支えないほどの源泉と浴槽の宝庫である。湯船はロッジに一つ、ロッジ裏の山の斜面に4つ存在し、5つ全てを利用する場合には、ロッジ受付で800円、野天風呂のみ利用の場合には500円を支払い、利用する。なお、野天風呂はアルプス登山の登山道とは無関係の場所、いわば宿の所有する“遊歩道”とも言うべき場所に点在しているので、自分勝手な解釈で「無料の露天風呂」などと混同する方がいるかもしれないが、宿がきちんと管理するれっきとした「宿のお風呂」なので、必ず先にロッジ受付に行くこと。また、遊歩道などと呼んだが、コースは本格的な登山道と遜色ない行程なので、サンダルやハイヒールなどは避け、ちゃんとした“靴”の使用をお勧めする。
  さて、受付で料金を支払うとロッジの建物を左に巻くようにして進み、裏手に出ると下の画像の看板が立っている。この看板から本格的な斜面を上っていく。ルートは最高所にある「薬師の湯」に向かって右ルートと左ルートがあり、どちらも、「薬師の湯」の一段下にある「仙気の湯」のやや下方にでる。右ルートには「黄金の湯」、左ルートには「三国一の湯」があり、行きと帰りを同じルートで通ってしまうと4つのお風呂全てに入れなくなってしまう。
  三国一の湯は常に泉温が40度を切っている“ぬるゆ”の温泉であり、好きな人にはたまらない場所であるが、好みは分かれるところだ。なので、「湯上がりおよび斜面の行き来を繰り返し熱くなった体を最後にクールダウンし、ぬるゆに思う存分浸かりたい」と思う方は、右ルートにすすみ「黄金の湯」から入浴開始、逆に「4つ全部はいりたいがやはり温泉はきりっと熱くないと物足りない」という方は左ルートに進み、最初に「三国一の湯」に入るというルートはいかがだろう。(特に三国一の湯は湯量が細く、運の悪い方は湯と出会えない時期もあるので、最後は黄金の湯でという方は多い)。当研究所的には三国一の湯は別の意味でも大変評価が高いので当然反時計回りのルートがお好みだ。
  浴槽は天空温泉の名に恥じないすばらしい眺望の湯ばかりで、特に「仙気の湯」はたびたびメディアに露出される「絶景の温泉」である。実は最高所にあるのは本当は「薬師の湯」なのだが、地形の妙で「仙気の湯」のほうが絵になるのである。冒頭に蓮華温泉郷と記したとおり、4つの湯船は全て源泉も泉質も色も異なり、四者四様の魅力を醸す。このような温泉が他にあるだろうか?当研究所は天空温泉のコンテンツを作成するに辺り、まずこの蓮華温泉を取り上げたかった。それほど、魅力的な温泉なのである。皆さんもまだ未湯の方はぜひ一度、二度三度と足を運ぶことを当研究所は自信を持ってお勧めする。

現在は「新黄金の湯」「蒸し湯」の2つが利用できなくなっているそうだ。


日帰り入浴利用時間 日帰り入浴利用料金 一泊二食付き宿泊料金 素泊まり宿泊料金
10:00〜16:00
(15:30最終受付)
  野天風呂=500円
  内湯・野天共利用=800円
9000円
(宿泊時野天風呂24時間可能)
6100円
(宿泊時野天風呂24時間可能)
 ※蓮華温泉ロッジは快適な宿泊のできる施設ですが、登山者の基地(山小屋)でもあります。様々な趣味の方が利用しますので、訪問の際はお風呂も道も譲り合ってご使用ください。なお、公共交通機関利用の方は糸魚川駅および平岩駅より「糸魚川バス」を利用してロッジにアクセスすることができます。バスは日帰り入浴利用時間に会わせて丁度午前10時に到着する非常に便利なダイアです。


黄金の湯 仙気の湯 薬師の湯 三国一の湯 白池
こがねのゆ せんきのゆ やくしのゆ さんごくいちのゆ しろいけ

浴槽基準の順路(2008年8月再訪しました。)
  看板から右ルートを軽快に歩いてくると進行右手に黄金の湯が見えます。上手に周囲を囲った隠れ家感のある露天ですが、見晴らしも利きます。      黄金の湯を後にし、傾斜がきつくなる山道を5〜10分程度上がります。途中山崩れで埋まってしまった新黄金の湯の横を過ぎるとやがて徐々に眺望が開け始め、高台に登り切ると最高の眺望を誇る「仙気の湯」があります。
  仙気の湯からガレ場を更にあがります。斜度は最高潮に達し、実は仙気の湯から薬師の湯の場所は見えているのですが(薬師湯と書かれた標柱が下から見える)、すでに温泉に2つ入った後ということもあり、息はかなり荒くなります。      薬師の湯から来た道を戻り、仙気の湯にもう一度浸かり(もちろん省略も可)、更に坂道を下り、行きに通過した「新黄金の湯」付近で「元来た右ルート」すなわち黄金の湯方面と「三国一の湯行きのルート」に分かれます。三国一の湯は右方向に下ってください。
  


夏場などのお勧めルート


1.黄金の湯 2.仙気の湯 3.薬師の湯 4.仙気の湯 5.三国一の湯
炭酸水素塩泉 単純酸性泉 酸性石膏泉 単純酸性泉 単純酸性泉


渇水期・および夏場以外のお勧めルート


1.三国一の湯 2.仙気の湯 3.薬師の湯 4.仙気の湯 5.黄金の湯


全体の順路(2008年8月再訪しました。)
  ロッジの駐車場に車を置き、車止めの先へ徒歩で行くと最初にこの蓮華温泉の碑が目にはいる。ロッジはこの左上手だ。     こんな感じの位置関係にある。ちなみに撮影のために下段に降りてきているので、入浴者はこちら側には来る必要はない。
  振り返るとこんな感じ。中央やや左方向に小さくアスファルトが見えているが、この奥がPであり、逆にアスファルトの道をロッジ方向に上がらず、そのまま進むと蓮華温泉のキャンプ場に至る。     ロッジ受付に向かう。中央階段付近に当研究所の所員・浜松支局のD氏が見える。ロッジ内湯は宿舎の左端に雪倉岳と向かい合う方向で据え付けられている。(今回は利用せず)。
  ロッジ建物の向かって右側に回り込み、建物の裏側に周ると・・・。下の画像の登山道入り口に出る。     画像中央の小屋の手前に水場がある。非常に冷たくおいしい水がくめる。湯上がりにももちろんだが、水筒持参の方は行きに汲んでいくと良い。
  いよいよ登頂開始。(おおげさ!!)     最初は非常に歩きやすい、斜面も緩やかな涼しげな道だ。
  ほどなく、黄金の湯着。     更に歩みを進めると林間コ−スから出て、草原地帯となる。ここに新黄金の湯があったとのことだが、今は泉源そのものが埋まっているようだ。
  新黄金の湯周辺。     仙気の湯周辺エリアの直前ポイント。仙気の湯・薬師の湯は火山性の酸性の湯が涌いており、周辺は「しゅーしゅー」音を立てる蒸気と硫黄の臭いに包まれ、更に植物の生えないむき出しの山肌となる。
  中央やや下手から一本道が続いているのが、黄金の湯及び三国一の湯からのルート。分岐はこの画像よりやや下手。     左の画像の中央やや左にある「仙気の湯」にズーム。D氏が貸し切り使用中。周囲は見ての通りのむき出しの山肌。
  仙気の湯より薬師湯方向を見上げる。実は画像左に右の画像の薬師湯標柱が写っているのだが、小さすぎるな。     薬師湯(下が湯船)より仙気の湯方向、ここでも標柱の左に仙気の湯船が見えている。



黄金の湯
2008年8月再訪しました。
  黄金の湯は右ルートをたどるとあっという間にたどり着く温泉で極めて適温な湯がかけ流されています。   眺望も利き、更に周囲を囲まれているので隠れ家感もあり、恐らく「ここが一番好き」という方もおられると思います。
  周囲は実に巧みに“生け垣”のような囲みができています。   湯は炭酸水素塩泉。柔らかく、入りやすいものですが、泡付きのようなものは感じませんでした。
  とうとうと湯が注がれています。   眼下の眺望もすばらしいです。
  木の湯船には若干こけがありましたがご愛敬です。   こちらが登山道方向。左がロッジ方面です。
  湯はわずかに黄色みを帯びて見えました。   これもロッジ方向。
  疝気の湯方向をバックにして。綱が見えますが、ガードレール代わりです。   ここからも雪倉岳が望めました。というかここで粘っている間が一番天気が良く、調子に乗って随分いたら、上に行ったら雪倉岳にガスがかかってしまいました。Dさん申し訳ありませぬ〜〜。
  この通り、背景の山々はくっきりです。   お仕事中の主任研究員A。
  緑が鮮やかでした。   毎度のことですが、頭皮が白飛びします。悩みの種です。


  若干高度が足りないものの湯船に浸かりながら山岳風景を十分堪能することができる浴場です。   ここが総合バランス一番優れてるかも?



仙気の湯
2008年8月再訪しました。
  薬師の湯アプローチの途中より振り返る。   タイマー撮影中に更にD氏が撮影。イクシが写りこんじゃってますよ〜〜。
  仙気の湯の色は灰緑色でありました。   ガスが通り過ぎたり、重なったりと陰影が絶えず交錯するコンディションでした。
  このすばらしい眺望。これほどの露天いかに温泉天国日本といえど、そう数多くはありません。   雪倉岳の雪渓はほとんど感じられませんでした。
  そういえば湯がどこから来るのか確認しませんでしたっけ。   遙か遠望。
  実は仙気の湯の横には適温の湯川が流れている。 はしゃぐD氏。でも楽しそうで良かった。
  ほとんど唯一と言っていいこの日の他の旅人とのコンタクト。(本当はもう一組いたのだが、空きの湯船にスライドしたら、もういなかった) 背中に哀愁を負う、S氏。
  もう湯船だけでなく、敷地そのものがずっと貸し切り、なのでキャノンの30秒タイマーをフルに活用し、“まっぱでゴー”の繰り返しでした。   これも一人舞台です。
  さすがにこの距離では30秒では無理。   でも、この距離ではやってしまった。

  実はオーバーフローも豊かな仙気の湯。 雄大な山岳風景。




薬師の湯
2008年8月再訪しました。
  断崖絶壁か、はたまた谷底の湯というべきか、とにかくそんな場所に薬師の湯はある。 この温泉は比較的透明な湯が満ちている。
  4つの露天のうちここだけが、岩風呂風になっている。   あえて俯瞰した画にしようと考え、ここまで上った。
  このようにより高所にありながら、仙気の湯よりやや眺望が物足りなく感じる。 不思議なものだ。
  いかにも硫黄泉ぽい、エメラルドグリーンに変わった。   背後は谷底。


  高度が上がっているのが実感できる薬師の湯です。   ここからは雪渓が見えていたのですが。


  周囲は山また山。   でも雲上の云々というのは若干大げさか?


三国一の湯
2008年8月再訪しました。
  さて、眺望抜群の薬師・仙気双方を堪能して下ってくると、登山道途中にまるで隠れ家のように三国一の湯がひっそりと湯を注いでいる。   上で書いたが、当研究所がこの浴槽に特別なお思い入れがあって、ここを締めに選ぶというのがご理解いただけるであろうか?そう、ちい風呂であり、オーバーフローが容易にみれるからだ。
  なんと美しい光景。この湯は源泉ですでに40度は切っており、浸かっていると体温より1〜2度高い程度かな?と感じられる。   湯はその時々で色を変える。なめてみるとまるきりレモンジュースで、確かに酸性泉そのものである。
  左手下に滝のようにあふれる湯がおわかり頂けるであろうか?   こちらも同様である。
  背後は笹に覆われ、眺望は利かない。   大人一人で丁度の大きさ。とにかく落ち着くのだ。ここは。
  う〜ん。帰らなければ行けない時間なのにでられない。   すでにD氏は帰り支度。服を着始めていた。
  しかし主任研究員の撮影会は続く。   まだ続く。
  まだ続く。   まだ続く。
  まだ続く。   この画像を撮影したD氏の思惑は果たして・・・・。
1.暇つぶし 2.いやみ 3.単なる好奇心 答えは・・・・?


  オーバーフロー二題。   特に上がお気に入り、湯の青、背後の緑が大変鮮やか。




番外:白池
 白池は蓮華温泉から丁度10q下った場所にある観光ポイントです。周囲はぐるりと遊歩道が整備され、さ
わやかな風に吹かれながら湯上がりの体をクールダウンできます。特にこの池にせり出したステージ状のウッド
デッキが秀逸でした。是非帰り道に立ち寄ることをお勧めします。



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