成川区共同温泉
  旧山川町内は黄金の温泉密集地域となっています。鹿児島県は大分県と良い勝負ができるくらい本当に色々な共同湯がありますが、どうも華やかなスポットを浴びることが少なく、ある意味現代日本に残された数々の秘湯とも言うべき温泉があちこちにあります。
  成川温泉もその一つです。周囲にはなんと言っても指宿温泉が、次に知名度で行くと鰻温泉などもあり、有名どころに囲まれて、JR山川駅前の「くりや旅館」とそのすぐ横の成川区の「成川共同温泉」といわれてぴんと来る方は少ないと思います。
  そういった理由も手伝って、ここでは旅人は相当少ないようです。私も「東京から来た」と言ったら、同浴の方ほぼ全員からいじられまくりました。「東京の温泉と比べてどうか」「東京ではこんな場所はあるのか」「ここまでどうやってきた?」など来る人来る人皆に同じ事を聞かれました。
  成川共同温泉の浴舎はおもしろい建造物です。ぱっと見には古い集会所の様ですが、扉は完全な木製で古い集合住宅のよう、更に脱衣所はいると浴室と脱衣所を分けるのは古い病院の様な、大正モダンぽいような木とガラスの壁、扉です。周囲にガラスを多用している事と天井が高い事、更に洗い場スペースが広大なため、浴室は実に開放感があり、その中央に湯がたっぷりと掛け流された比較的大きな小判型の湯船があります。湯は無色透明ですが、海辺らしい塩分を感じる温泉で理屈抜きでとにかく楽しい湯浴みが楽しめます。

残念ながらこの温泉は廃止されました。
もう入浴できません。


いきなり おまけ
  余談ですが、旧山川町には日本最南端の駅がありました。いじわるとんち問答のようですが、なぜ過去形なのかというと、以前は沖縄には駅がなかった(今はモノレールができた)ので、本当に日本最南端の「駅」だったのです。現在は「JR最南端の駅」という名称にしているようです。
  しかしこの旧山川町の開聞岳を取り巻く環境はそんなブランドじみた言葉にごまかされることで色あせるようなことは微塵もありません。まるで北海道の様に広い広い空に道が延び、その先に佇む美しいシルエットの開聞岳。富士山をはじめとするコニーデ型の火山の中ででこれほど端正な形は全国にあまたある「〜富士」の中でも最高峰に属するものです。


  青い空が目にしみるような日でした。この様な日に成川温泉に訪問できたことはとても幸せです。今時全て木製の扉は大変貴重でこの浴舎の独自性に一役買っていると思います。
  この目隠しのカーテンもよいのですが、更にご覧いただけますでしょうか、床も昔懐かしい板張りなのが。この板は昔の洋風の公民館のようで、まるで汚い声でなくウグイス張りの様です。昔の小学校や講堂は皆こんな感じでした。
  そして、本当に大正時代の洋館か昔のお医者さん(それも耳鼻咽喉科とか皮膚科のイメージ)のような雰囲気を醸す、このガラス戸。いいですぞ〜〜。
  これだけ見たら体育館かな?とも思えます。

  脱衣所から入り口方面。何とも天井が高く、開放感があり、訪問者を釘付けにします。
  もうしつこいですか。
  奥側の湯船に湯が足りないのは、当研究所速く着いてしまったためと思われますが、この辺のファジーさも共同湯らしくて良いです。
  湯が溜まりました。洗い場がこれだけ広いと寝転がっても何も言われません。





温文研ホームへ 県別リストへ






inserted by FC2 system