横瀬温泉
  この横瀬温泉も坂本さんの超秘湯の本を見てずっと憧れていた場所です。しかし、こちらも「弘寿温泉」同様坂本さんの本に載っていたままの浴舎は新しく建て替えられていて、遂に幻の温泉のままに成ってしまいました。幸いこの種の共同湯(地域で管理する共有財産としてのお風呂)には珍しく、建て替えられる前の浴舎や湯船の画像が脱衣所前の廊下に掲載してあり、若干ですが昔へのあこがれの溜飲を下げることは出来ました。
  新しい施設は少し大きめの共同湯という感じで、濁り湯が満たされていました。しかし見た目の濃そうな印象とは異なり、湯は鉄分を豊富に感じますが、それ以外は嘗めても突出した味がない、むしろ癖のないものでした。


  中津川温泉を後にして、少し足を伸ばした場所にある「横瀬温泉」。しかしはしご目的でなく、純粋にここを目指すなら、牧園役場より国道223号を経由した方が近いです。   手前の美しき川は小谷川。この種の共同湯で窓外にこれだけの清流を望めるのは贅沢という以外ありません。
  横瀬の集落。川に沿って意外に大きな集落が広がっています。ここまでの道のりを考えると「なぜこんな山の中に?」と当初思いましたが、私は犬飼の滝方面から犬飼温泉、中津川温泉と経由してきたのでした。良く地図を見れば、この集落の方が国道にも役場にも近かったのです。しかしこの中津川沿いの道は県道ですらなく、また沿道にははっきり「〜温泉」という商業地域を伴った温泉(例えば草津温泉など)もないのにわずか5qの間に「和気の湯」「犬飼公衆浴場」「中津川温泉」「横瀬温泉」と超A級の共同湯が立ち並んでいます。鹿児島と言うところはなんと言うところなのでしょう。
  左:丁度オープン時間の訪問となりました。何となく鍵が掛かっていたらどうしようと言う雰囲気が漂っていましたが杞憂でした。
 こちら廊下に掲示されていた旧施設の数枚の画像の中から湯船を写してみました。やはり共同湯は歴史を刻んだものの方が私は好きです。
  とても温まる湯でした。天井が高く、窓を開ければ美しき清流からさわやかな川風が。   そして何度か窓にもたれかかっていた後、窓外のとあるものに目がとまり、当研究所のアンテナがぴぴっと反応し釘付けになりました。秘密はこの下で。


おまけ
  こちらの画像は浴室の窓外の風景です。川の上流に目をやると・・・・・、「ん?・・・何だあれ?」。   ガードレールの切れる辺りにぷんぷん臭うものがみえているではありませんか。
  服を着るのももどかしく、急いで着替えて、川沿いの道を行くと・・・。久々に震えがくるくらいぞくぞくしました。なんという湯小屋でしょう。こんな出会いのために当研究所は温泉文化を追い求めていると言っても過言ではないくらいの風情です。
  ジモでしょうか。自家泉でしょうか。ふと振り向くと鍬を持ったおとうさんが歩いてきます。「あのう・・・。」事情を聞き、なるほどと思うと同時に悔しさがこみ上げてきました。   この湯小屋は現横瀬温泉施設を建て替える間の代替施設として使われた、いわば「横瀬仮設浴場」だったそうです。そして新施設完成と同時に使用されなくなり、今は物置になっているとのこと。しかし、推測ですがこの感じは急遽たてられた仮設浴場ではなく、元々ジモとして機能していたもののように思います。活きている頃に合いたかった。









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