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鵜泊温泉・みぞぐち温泉
町営公衆浴場・湯之尾滝荘
亀の湯・幸福温泉
川南温泉・岩戸鉱泉


湯之尾温泉郷
  菱刈町内及び大口市内は安価な公衆浴場の密集地域となっています。菱刈町は「湧水町」(吉松町と栗野町が合併)のすぐ左側に位置する自治体ですが、平成20年に大口市と合併し伊佐市となりました。湧水町のみでも全国レベルにおいてスーパーハイレベルな共同湯・公衆浴場の密集域なのに更にすぐ隣の伊佐市にはまた湯之尾温泉郷があるわけですから、鹿児島県は本当にすごいところです。以前ここいらには吉松と海とを繋ぐ国鉄線が縦横に走っていました。湯之尾温泉公衆浴場は昔は駅前温泉でもあったのですが、こんな話は本当に昔話になってしまいました。ちなみに当研究所は当時の国鉄『山野線』『宮之城線』共に完全乗車しました。
  湯之尾温泉郷という言葉は正式な物ではありません。というか存在しない物です。たまたま、この湯之尾という地域に温泉が密集しているので便宜上当研究所が呼称しているだけですのでご容赦下さい。このエリアには地味な感じの100円温泉が密集していて、旅人には秘湯感さえ漂います。
  湯之尾の地区には公衆浴場は幾つあるのか現状では把握できていません。当研究所は現在8軒訪問しましたが、つまみ食いをしたレベルです。どこも安価で個性的ですので、お勧めします。


鵜泊温泉   鵜泊温泉は湯之尾の中でもいぶし銀のような鄙びたシブイ共同湯です。個性的でいかにもほったらかし温泉のような雰囲気で佇みますが、一応番台式でした。(ただ、平日訪問だったせいなのか随分ほっとかれ感が強かったですが)。湯は2つの源泉が掛け流されています。湯船に別々に湯口があり、一つは共同源泉。一つは自家源泉とのことです。シンプルきわまりない設備と湯船は共同湯ファンならば必ず気に入ることでしょう。
     5時から19時半。100円。
みぞぐち温泉   みぞぐち温泉は自動車マップにも載っているほどの温泉ですが、限りなく自家泉に近い、看板も何もない温泉です。まず名前ですが、これは『溝口』さんのお宅のお庭にあるからみぞぐち温泉といいます。このお庭というのもぐるりを石の塀で囲まれた場所で、更に門が引っ込んだ位置にあるので基本的に実に見つけにくく、また、地元の方に道を聞いた後でもその敷地に踏み込んでいくのにはある程度の割り切りを要します。(間違ったら謝っちゃえという風に割り切らないと入っていけない閉塞感があるのです) 湯は安楽温泉に似た感じの暗緑色のもので実に美しく、湯船以外は何もない浴室のシンプルさと相まって当研究所、外来可の共同湯としては鹿児島県ナンバーワンと捉えております。
   
  定時なし・・・概ね早朝より晩まで。100円。
    極上お勧め。
町営公衆浴場   こここそ以前は駅前温泉として有名だった湯之尾公衆浴場です。ただ、現在の建物は移転後新築されたものらしく、駅自体もこの前にあったわけではないそうです。同時に以前は自己源泉だった物が、菱刈金山の掘削の影響で、新しく掘り直した共同源泉を用いているとのことでした。
   
  7時から20時。150円。
湯之尾滝荘   景勝地である湯之尾滝公園の真ん前にある旅館のお風呂が湯之尾滝荘です。旅館なのに100円というのに惹かれ、行ってみましたが、もう驚きの鄙び加減で、超一級の共同湯とも勝負できる湯と湯船とシンプルさでした。ただ、私はむしろ好印象を受けますが、やや清潔感が無く、古さと言うよりは、手入れをしてないという感が強く印象に残る場所なので、訪問する方の好みは分かれると思います。ちなみにこちらは驚異の宿泊料一泊2食5千円という事でした。あの温泉に入り放題で湯治宿の素泊まりに毛が生えた程度の値段。鹿児島恐るべし。
   
  7時から20時。100円。

  ※湯之尾滝荘はリニューアルされ、「民宿ガラッパ荘」と名称変更しました。
菱刈温泉・亀の湯   菱刈温泉は湯がじゃんじゃんと掛け流される共同湯です。比較的大きめの湯船が2槽あって、片方に源泉がじゃんじゃん注がれていますが、温度差はないように感じました。どちらの湯船も湯面が湯船の喫水線よりも盛り上がって見え、表面張力により、一杯一杯に湯が入って見える贅沢温泉です。ちなみに地元では亀の湯という名称が浸透していて、『菱刈温泉はどこですか』と聞いても思い当たる方が少なく苦労しました。
     6時から21時。200円。
幸福温泉   幸福温泉は国道268号沿いにあり、やや他の温泉とは離れています。むしろみぞぐち温泉に近いです。普通ごみごみした所に住んでいる人間の感覚だと国道沿いの温泉などは後回し的な温泉であることが多いのですが、ここは鹿児島、ここ幸福温泉も超一級の鄙び共同湯です。湯の緑色の濃さにはびっくりです。
   
  8時から22時。150円。

   残念ながら廃業しました。すでに更地となっているそうです。(2009)

川南温泉   こちら川南温泉も別府の感覚に近い200円温泉ですが、ここ湯之尾では珍しい単純泉とありました。自分でバルブから自由に源泉を調整できるタイプなので轟音を響かせて源泉出しっぱなし、溢れっぱなしの入浴ができます。
   
  6時から20時。200円。
岩戸鉱泉   やや毛色の変わった鉱泉にも行ってみました。こちら喫茶店もやっている不思議な鉱泉宿ですが、逆に山野中で一軒宿なのに、随分こぎれいな岩風呂に通され、帰って驚いてしまいました。基本的に鄙び宿が多い中で、清潔な設備がある程度整ったところが良いという向きにはここも良いのではないでしょうか。湯は全く癖のない物で沸かしです。源泉は掛け流しなのかどうか確認できませんでした。(当研究所の訪問と同時に湯を溜め始めたため、湯船内で打瀬をしながら待つことになりましたが、1時間近く待って画像のような有様なので、遠くまで来てここでこれ以上のロスは痛いと思い、次に向かいました)
   
  12時から21時。330円。



鵜泊温
  鵜泊温泉は袋小路のようなおもしろい地形の場所にあり、当研究所到着までに少し迷ってしまいました。基本的には主要道に対して橋を渡って、川の対岸に行くような感じです。
  一応右が番台ですが、結局中に入って声をかけ呼ぶような感じでした。
  湯船しかない浴室。いい感じのくたびれ具合ですばらしいです。とにかく暖まりました。
  菱刈の湯之尾に多い『炭酸水素塩泉』。多くの温泉がこの共同源泉を使用しています。
  湯舟の内部はやや浅く、段差に座れば半身浴が出来ます。
  奧の吹き出し気味の湯口と手前の軽くオーバーフロー気味の湯口が別源泉なのだとか。   湯の流れ出し口を見ると結構成分がこびりついているようにも感じます。



みぞぐち温
  みぞぐち温泉の入り口。
  このブロック塀の裏が湯小屋ですが、とにかく看板もなく、何も発見の手がかりはありません。途中民家も少なく、人に聞くことも難しいので、行き過ぎないようにしてください。
  湯小屋の前側にまわってもまだ湯船があるように見えません。右が男湯です。
  広いお庭には炊事場もありました。湯は流しっぱなしです。以前はそもそも湯自体がここから湧いていたそうですが、こちらも今は引き湯だそうです。
  タンク。
  脱衣所。
  湯船はオーバーフロータイプではなく切れ込み式。これだけが残念です。流れ出し口は析出物でギザギザになっていました。
  光の加減にもよりますが緑が深い湯です。
  湯船です。湯は見た目よりは癖がなく、塩化土類泉等を水で薄めたような感じです。元々かなり熱そうでしたから、加水された後なのかもしれません。   1〜2時間ほど貸し切りで入ってしまいました。




町営公衆浴
  もう少し風情を期待していったのですが、鄙びとは無縁の建物に変わっていました。
  しかし湯の濃さは浴室内の様々な結晶で何となくうかがい知ることが出来ました。
  典型的な千枚田状態です。
  新築移転されたことを考慮に入れると結構すごいのかなと思いました。
  湯船の全ての面から湯がザザ〜〜とオーバーフローする正しき共同湯の姿を見ました。
  気持ちいいです〜〜。一気に湯が溢れました。   湯の流れ出し口を見ると2本出ていますが、番台さんの話は何となく要を得ず、結局2本ある意味はわかりませんでした。




※名前が変わりました。

湯之尾滝
  湯之尾滝荘の川側です。
  湯船からは見えませんがこの様にすぐ裏に滝があります。
  こちらさすがに旅館と言うべきか、自家源泉のようでした。
  比較的浸かりやすい適温の湯を出しっぱなしにして使用しました。とにかく人の気配が全くなく、最初旅館の方が出てくるまでにも時間がかかり、入浴中もずっとほっとかれてました。もちろん女湯にも誰もいません。
  こいらの湯はこの様に苔が生えたように緑色になっていることが多いのですが、別にぬるぬるするわけではありません。
  湯は光の加減により色を変え、美しい姿を見せていました。
  窓外には伸びやかな、田園地帯のような原始河川のような眺めが望め、風が気持ちよいです。   あまりにも開放的だったので、予定をいくつかつぶしてここにずっと居てしまいました。



菱刈温泉・亀の
  菱刈温泉は大きな湯船に湯がたっぷりと入った温泉です。
  一応番台式でしたが何となく閑散としていました。
  ここも単純泉でした。
  ここはバルブではなく湯は流しっぱなしでした。
  美しい透明な湯。


  この湯面の盛り上がったような感覚。こんもりとした湯が最後に我慢しきれなくなり、左側からオーバーフローしていました。
  むふふ。ここも貸し切りでした。    左右の湯船に温度差はありません。



幸福温泉は2009年には廃業し、すでに跡形もないそうです。

幸福温
  非常にわかりやすい幸福温泉です。ここは入浴のリストにありませんでしたが、国道走行中に何度か前を通って居る内にふらふらと行ってしまいました。
  こちらの湯は析出物がなぜか湯底にばかり固まっていて、足裏が痛かった記憶があります。
  オーバーフロータイプではない湯船は何となく寂しさが残ります。。
  源泉は流しっぱなしです。
  美しきグリーン。
  あっさりというかさっぱりというか、さらりとした湯でした。   こちら家族湯も設置され、この共同湯の方が安い訳です。


川南温
  川南温泉は番台式の温泉でしたが、またしても貸し切りでした。というかこの日周った8軒は全て貸し切りだったのでした。
  ここも単純泉でした。
  最初ほったらかし温泉かも知れないと思いましたが・・・・。
  この様に御湯銭処がありました。
  バルブは全開が基本ですが、私はオーバーフローを始めたら止めてしまいます。湯が注がれる音も聞こえないようなし〜んとした入浴が一番好きなのです。


    下:湯の溢れ加減が美しく、湯船の縁が光っていました。
  とにかく気持ちがいいです。   湯之尾は秘湯の宝庫です。


岩戸鉱
  岩戸鉱泉はかなりはずれというか、上の7つの温泉とは離れたところにあります。本城小学校の前辺りだったと記憶しています。
  全体におしゃれな旅館という感じで鉱泉らしくなかったです。



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