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今江温泉元湯
  石川県小松市は横に距離のない石川県にあっては西の要衝といっても良い場所である。現在では地元の人はともかく、他県人にしてみれば小松空港の存在により、県庁所在地で古都としても有名な金沢市とほぼ同等の知名度があるかもしれない。小松市に湧く温泉は金沢市周辺のものとは異なり、透明なつるつるする塩化物泉系の湯が多い。加えて、大変歴史の古い温泉が多いのが小松市周辺の特徴である。
  今江温泉元湯は外観からして“におう”ただものではない銭湯である。このレトロ感というかB級感というかとにかく古き良き感覚は、本当に久しぶりに味わった物であった。特に脱衣所の感性が突き抜けて“昭和”という時代を感じさせるもので、ご主人によれば50年は経過している建物だそうだ。木の骨組みがよい色に熟成している中、なんと脱衣所に「10円ゲーム機」が鎮座している。女性にはなじみが薄いかもしれない10円ゲームだが、昔駄菓子屋には決まっておいてあり、10円を投入するとそれを左右に互い違いに配置されたパチンコで落とし穴に落ちないように上手にはじき、ゴールを目指す、うまく最後までいったら景品(たいがいは板ガム1枚であったが)が出てくるという物だ。また電子ルーレットもあった。これも10円を投入し、普通にルーレットをやっていくというもので、当たるとかけ方に応じた配当(専用のコインが10枚・30枚・100枚などという感じで出てくる)が得られる。こちらはコインを何枚持っているかが子供としてのステイタスとなり、多くは交換する景品が無かったように(つまりただ持っているだけ)記憶している。(ちゃんとしたゲームセンターには、そのコインが他のゲームに使えるという場所もあった。いずれにしてもスペースインベーダーが登場する・・・つまり現在のようにゲームといったらTVゲームを指す時代ではない頃の主流の遊びであったのだ)
  随分熱弁をふるってしまった。話を元に戻そう。浴室も実にこぢんまりしていて良い。シャワーやカランはせいぜい4〜5基というところで、湯船もそれぞれが、大人2〜3人用のものが、ジャグジー槽と通常のものに分割されているだけである。湯は典型的な塩化物泉でまろやかな、しかししっかりとした塩味が付いており、その湯が温泉ファンにはたまらない塩ビ管から注がれている。今江温泉は元々水道水の銭湯からスタートしたが、途中で温泉を掘ったらしい。なので温泉は建物よりは歴史が新しいと言うことであった。湯量は恐らくそんなに多くはないのかもしれないが、湯船の大きさが湯量とバランス良くあっているので、オーバーフローはしっかりと目で確認でき、むしろ湯量豊富に感じるほどであった。もう一つ、銭湯らしい意匠が床に施され、湯がオーバーフローして床を洗う部分に“鯉”が描かれていた。壁に描かれているのは何度か見たことがあるが、床は珍しいと思う。まるで、水平面で鯉の滝登りを表現しているかのようで、塩ビ管の湯に浸かりながら、じ〜〜とこの美しい鯉を眺めていた。当研究所的にはかなりお勧めの物件である。
利用時間=7:00〜23:00 毎月16日休み  利用料金=420円  076−121−4126





2008年8月訪問しました。
  建物の右手がPとなっています。普通車が7〜8台おけたと記憶しています。   件の脱衣所。ゲーム機に関しては上の拡大画像を参照。
前日のひどい天気が嘘のような青空でした。 この左右の看板がにおう、におう。
  本当に石川県の銭湯は営業時間が長くて助かります。   そして内部。まず入ってすぐに鯉が・・・。
  手前のジャグジー槽。   奥はこんな感じ。
  逆から。   看板。
  普通浴槽。   そこに入浴中。
  塩ビ管からは適当量な湯が注ぎます。   この電気風呂はなめていました。胸まで沈めたらビビビときて・・・・、本当に心臓がストップするかと思いました。
  ここに2組目の鯉が。   脱衣所との位置関係。


  天気が良く、天井は明かり取りで直射日光が真上から指しますので、陰影がひどくなかなか画像は美しく撮れませんでした。   こんな小さな浴室なのにうれしいことに水風呂もあり、なかなか良くできています。
  煮えたぎる灼熱のマグマのようなジャグジー。   でもここは湯船が小さいせいか、そんなに落ち着かないことはありませんでした。


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