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大鰐温泉
  碇ヶ関村は小さな隠し湯系の共同湯から黄金の湯治湯・湯ノ沢温泉郷や古遠部温泉などまでバラエティ豊かな温泉を擁する温泉密集地域となっています。特に湯治温泉である「秋元温泉」「なりや温泉」「古遠部温泉」等は全国レベルの力を持っており、訪問マストな温泉となっています。
  大鰐温泉はそんな碇ヶ関周辺エリアにおいてのみならず、青森県では「温湯温泉」と同じく貴重な温泉街を持つ場所となっています。その温泉街には青森県最高数の一カ所に9つの共同湯を持っており、本来なら当研究所の最大の研究対象となっているはずの所なのですが、いろいろな要因が重なり、もう一つ皆さんに強く押すことが出来なくなってしまっています。
  というのも、各公衆浴場は温泉街に点在し、それぞれかなりユニークな営業時間や定休日の設定をしているのですが、時間や場所を事前に調べると言うことが簡単にできないからです。草津や野沢を例に挙げるまでもなく、同じ東北ならば飯坂温泉なども公衆浴場マップで位置と営業時間・料金などがわかり、歩くことが楽しいですが、大鰐の場合、苦労してたどり着いても目の前まで行って営業していないと言うことが往々にしてあるのです。良い公衆浴場が多いだけにこの点はちょっと残念です。



大鰐温泉の歩き方
  先頃(平成17年前半)大鰐駅前に大きなPが完成しました。今まで大鰐温泉は温泉街として決まったPを持たず当研究所泣かせでしたが、新しくできたPはおみやげ物も買え、更に地元の方にいたく評判の良い日帰り湯(500円。9時〜21時。)まで備え、これでかなり死角がなくなりました。
  湯巡りには大鰐駅前の『湯の駅 鰐
COME』を目指し、そこから歩くと便利です。大鰐の共同湯は乗用車であっても駐車できるところはなく、どこにいっても必ず路駐を余儀なくさせられます。
  さて、共同湯の散らばり方ですが、温泉街が比較的規模が大きな場所ですので、端から端まで歩くのがまた実に大変です。その上、大鰐温泉は現在源泉が統合源泉となっていて湯に個性がない、また下に記すとおり営業時間が一軒一軒非常に不規則なので、コンプリートは大変な作業となります。当研究所は3〜4年を要してしまいました。



温泉街の風景
  この湯魂石の所に鰐の飲泉所があります。修善寺や下諏訪・温泉津などと並んで全国的にも味がある飲泉所の一つだと思います。
いつのまにか足湯も出来ていました。
  町中には意外にこういった温泉の垂れ流しポイントが少なく之は貴重なカットです。
  温湯にしか無いと思っていたこの「客舎」という言葉。大鰐にもそこかしこに見られます。



共同湯
若松会館   Pから最も近くの共同湯。昔は100円温泉の代名詞だった大鰐も今では値上げに次ぐ値上げでとうとう200円を超えてしまいました。湯船は非常に美しい青色のものでたっぷりの湯が足下噴出で掛け流し。贅沢です。
  
6時〜21時。220円。(3館共通)
大湯会館   大鰐の共同湯のシンボル的存在。大きな円形の湯船は霊泉の文字と相まって何となく人を惹きつけます。
青柳会館   温泉街の東の果て、平川に掛かる多くの橋の一番東の青柳橋から徒歩30秒にある温泉。湯船の大きさの割には装備がシンプルでアンバランスです。B級感があります。
山吹湯   若松会館そばの民営の共同湯。この山吹から羽黒・茶臼の3つはお昼を挟んで5時間の大中断があり、当研究所何度かはまりました。
   
6時〜10時、15時〜21時。220円。
羽黒湯   山吹の湯から更に東へ行くとすぐに温泉動物園でもおなじみの鰐の飲泉所があります。その先に羽黒湯があります。この羽黒湯から後の4つが大鰐では小さな共同湯として一番風情があります。
   6時〜10時、15時〜21時。220円。
茶臼湯   駅からも中心街からも一番離れた、住宅街の中にある銭湯のような共同湯が茶臼湯です。
   6時〜10時、15時〜21時。220円。
寿の湯   大鰐で最も変則的な営業日となっている寿と萩。何度も何度も泣かされました。特に寿は最初昼頃行き、×、次に午後のみというのを知らず早朝行き、×、次に休業日が一日おきというのを知らず、×、4度目にやっと入れました。建物の外に何も注意書きが書いてないのです、ここは。
   
15時〜21時。200円。営業日=月水金日曜日
萩の湯   大湯の並びの共同湯。寿の湯と交代で営業しているようです。
   
15時〜21時。200円。営業日=火木土日曜日
???温泉   大鰐温泉のどこかにある純然たる隠し湯系の共同湯。正に当研究所が描く理想の共同湯の姿がここにあります。加えて、近年新しく掘削した専用の源泉を有し、大鰐の統合源泉と異なって大いに個性を持った自家源泉の源直湯となっているのです。この温泉にやられない方は当研究所には居ないはずです。
  
 100円。早朝から晩まで。
番外・赤湯   大鰐は温湯と同じく古くからの温泉街としての湯治(山中の一軒宿の文化とは異なる)の文化がそこここに残っています。赤湯は大鰐温泉の歴史にも深く関わる統合されている源泉の内の一本を所有する旅館です。今や共同浴場よりも安くなってしまった入浴料が光ります。
  
 7時〜22時。200円。



若松会館
  駅から最寄りの共同湯・若松会館です。場所的には茶臼山公園の真下です。駅から茶臼山公園を目指して最初の橋を渡り、即右です。大鰐ではこの『〜会館』という共同湯は大鰐温泉財産区の区営温泉で中間休みなしで営業している物です。
  ここの湯船は変形の小判型(又は角なしの長方形といった方がいいかも)で青タイルが美しいです。中央の底に沈んで見えるのが湯口で大鰐の90度以上のゲキ熱湯がにじむようにもわもわと出ています。ちなみにその管が通っている洗い場付近は菅の熱が伝わり床暖房状態です。
  浴室は共同湯らしい周囲全てに洗い場とカランが設置してあり、奥側のみシャワーもあります。
   むふふ。おとうさんたちはみな体を洗ったり、ひげを剃ったり、あまり湯船に入ってこないのです。ずっと貸し切りでした。


霊湯 大湯会館
  駅から川と線路に並行して碇ヶ関方面に歩くと通りから少しひっこんだ所に大湯があります。
  これは少し古い看板。今は220円です。
  これは更に古い看板。外来料金は変更ありませんが、区民料金が安かった頃。短い間ですが大鰐の歴史をかいま見ています。
  大湯は一番共同湯らしく、カランも少ないですし、全体にこぢんまりしています。
   シャワーは全部で4〜5基だったでしょうか。
  湯は統合源泉なのでどこもそんなに変わりありません。湯口にはナトリウム状の白い析出物が多く見られますが、口に含むと若干ですがミネラル分を感じる程度でそれほど個性的ではありません。


青柳会館
  川に掛かる橋の内、一番碇ヶ関よりの橋を線路と反対側に渡り即右折徒歩30秒で青柳会館です。建物は完全に川に面していますが入り口が川に向いているので湯船は渓流沿いとは行きません。。
  格子模様の湯底が大変美しく、また明かり取りの部分がすごく広いので全体に開放感があり、とても良いと思いました。
  湯船から脱衣所。青森の浴場は全体に整然としていて、好感が持てます。
   しかし、この浴場、なぜ人が来ないのでしょうか。こんな大きな湯船が最初から最後まで一人の人に会うこともなく、完全貸し切りでした。


山吹湯
  若松会館から駅と反対方向に通りを進むと1分ほどで山吹湯です。この山吹と羽黒・茶臼湯は午前10時で一旦中断し、次は15時からですので、コンプリートねらいの方はご注意を。内装を新しくしたのか、浴室はペンキのにおいで一杯でした。平成17年8月に2度目の訪問をしました。


羽黒湯
  山吹湯から更に駅と反対方向に進むと、すぐ右手に鰐の飲泉所、そこを過ぎるとこんな左の画像の感じになり、羽黒湯があります。
  ここは小さな小さな共同湯です。
  浴室は正方形の間取りで湯船はきれいな相似の関係にあります。
   何となくこういう共同湯の方が落ち着いてしまうのはもう言うまでもないことと思います。コンプリートを考えない方は、羽黒、茶臼、寿、萩などをどうぞ。


茶臼湯
  茶臼湯は駅から最も離れている隠し湯系の共同湯です。ここも2度も3度も訪問しやっと入れました。この時の訪問では確か昼の大中断中でした。場所は青柳会館の青柳橋から線路と反対方向に立って、向かって左の区画の住宅街の中です。
  こういう湯巡りをするという意味でも、大鰐はもう少しお客に便宜を図っても良いのかも知れません。それはこれだけの数の共同湯があるのに、きちんとした営業時間入りの温泉街マップが無いか、あるいは用意されているのかも知れませんが旅人に簡単に手にはいるようなシステムになっていないからです。
  夕方6〜7時頃やっと空いている時間に訪問できました。猛吹雪の中で明かりを見つけた八甲田彷徨の気分でした。
   やっと入浴し、中で落ち着いたらまるで浴室全体がミストサウナのようでどうやっても曇りがとれず、こんな美しくない画像しかありません。ご勘弁を。


寿の湯
  寿の湯は茶臼湯と川を挟んで点対称の位置にあります。大湯から駅と反対方向に進むとやがて青柳橋の交差点、ここを右折せずまっすぐ行って、じき右にはいるのですが、ここは目印は何もありません。茶臼湯以上に隠し湯系ですので、じっくりと散策し発見の楽しみも味わってください。
   平成17年8月、こちらを最後に訪問し当研究所、大鰐温泉のコンプリートを完成しました。


萩の湯
  駅から大湯を目指すと先にこの萩の湯に付くことになりますがこの萩の湯も偶然空いている時に当たるのは至難の業です。
  こちら羽黒湯と勝負できるほどのちいぶろです。


???湯
  大鰐温泉の救世主。こういう温泉があるから共同湯巡りは病みつきになるのです。お賽銭式で100円。
  ここは全てがミニマムサイズで、脱衣所も畳2畳分あるかないかです。
  浴室は正方形の板取で角を切り取ってプラの生け簀がはめてあります。湯船は奧に向かって傾斜させてあり、もう一つオーバーフローが巧く出ませんがまあ贅沢を言ってはいけないでしょう。
  
   湯はざんざんあふれかえっており、飲泉も出来ます。カップの横のバルブを回せば洗面器に流されている湯が湯船にも流入します。バルブの周りは真っ白に析出物が付いていました。統合源泉ではわからなかった湯の特徴もここでは口に含めば「微硫黄臭・微アブラ臭・弱塩味」と温泉らしい芳しい香りがぷんぷんします。湯はつるつるする性質の湯で、洗面器の周りの板の洗い場はとにかく良く滑り大変危険なのですが、意に反してプラの浴槽は全く滑らず、ありがちな「底がつるつるして落ち着いて入れない」現象がありません。 極上。


番外編  旅館赤湯
  山吹湯付近を川の方向に折れると一番旅館が密集した場所に出ます。統合源泉である大鰐は4つの源泉を有し、それぞれ「赤湯2号」「石原源泉」「青柳3号」「植田2号」といいますが、もともと統合される前の源泉を有していた所の一つが、この赤湯です。名前の通り元々は鉄分を豊富に含み、湯が赤かったそうです。ブレンドしない湯に浸かってみたい物です。
  統合源泉故、大鰐ではどこであってもこの成分表が掲げられています。
  地名の由来と赤湯の歴史。








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