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下風呂温泉
 下北半島は黄金の温泉密集地域となっています。有名な奥薬研温泉のかっぱの湯から全く知名度のない石神温泉や湯野川温泉などまで様々あります。
 下風呂温泉は本州最北の白濁泉の湧く湯町です。硫黄の香りが漂うこの町には2軒の独自源泉の共同湯があり、それぞれに湯の個性が違います。海に面した湯町は美しい海の景色と共に海の幸にも恵まれ、旅館は安価で湯も食事も良いところが多く、独自源泉によりその旅館でないと味わえない湯というものも存在し、宿泊にも適しています。
 地元の記録に寄れば、下風呂の歴史はすでに室町時代の地図に『湯本』と記されており、日本では『箱根』『那須』『日光』などと並んで古いのだそうです。
 なお、現在(H.20)地元では共同湯の見直し案が検討されているそうです。内容的には「2軒を統合して1軒にし、温泉街の中から港付近に移転して、大きな駐車場を確保する」というものです。現状では本当に「検討されている」というレベルらしいですが、この手の話は一旦決まってしまうとあっという間に事が進む・・・ということがありますので、画像をご覧になって感じるものがあった方は「お早めにどうぞ」とアドバイスさせていただきます。


下風呂温泉の歩き方
  乗用車の場合、各共同湯前には2〜3台の駐車スペースがあり、夕方などの混み合う時間帯でない限り概ねP可能と思います。中でも大湯は実は前の「まるほん旅館」の裏が公民館になっており、公民館のPはかなり広く、むしろこちらに置いた方が気は楽かも知れません。(共同湯前だと地元の方が止められなくなるときまずいとおもうのです)。しかし言うまでもなく大型車は入れないか、入っても迷惑です。当研究所いつも三浦屋さんの前の辺りの港のPに駐車しています。いずれも無料です。
  共同湯「大湯」と「新湯」はこの公民館を介して行き来が出来、わざわざ坂を下り切らなくても横に移動できます。また最近(平成17年)この公民館前から行ける場所に、戦時中に計画されずっと放置されてきた『幻の大間鉄道』の道床を利用して遊歩道と足湯が出来ました。遊歩道は温泉街を一望するほどの見晴らしで是非散歩することをお勧めします。また、各旅館ごとに趣向を凝らしたお風呂があり、入浴料金が共同湯と同額の旅館もありますし、自家源泉を所有し、共同湯では味わえない湯を持つ所もありますので、正に
はしご湯の街にふさわしい場所です。


温泉街の風景
新湯から坂下方向。
佐々木旅館など名旅館が連なります。
新しくできた遊歩道。

鉄道のために敷いた物を
利用しています。
足湯の四阿もそれっぽく
作ってあります。


共同湯
大湯   港に車を置き、大間崎寄りの温泉街の入り口から歩くと急坂を上がる車道に出ます。そこから右折して坂を上り詰めた所に大湯があります。大湯は硫黄が香る下風呂の中でもひときわ真っ白なガツン湯で、疲れる系の湯です。源泉は66度の硫黄泉です。洗い場の木の板が足裏に心地よく、とても良い共同湯です。浴槽も不思議な材質で肌触りが(?)です(笑)。
    7時から21時。300円。(共通)
新湯   逆に大湊方面から入った山の手にあるのが新湯です。新湯は透明系の湯で源泉は95度ですが、泉質は大湯とほぼ同じということです。ということはこちらの湯の方が酸化しておらずどちらかというと新鮮なのかもしれません。(それでも個人的には大湯の方が好きなのですが)両方源直湯です。


下風呂温泉の源泉について
  先頃(平成17年7月1日)から下風呂でも宿泊客対象に温泉手形を用いたはしご湯を始めました。(確か800円で3軒はしご出来ます)注目すべきはそのポスターで、宣伝用のポスターには通常知られているより多い源泉(4本)とそれを使用する旅館の一覧が詳細に載っています。今まで下風呂は大湯と新湯の2本の源泉しか知りませんでした。ところがそれ以上あったのです。新しく見つけたものは海辺地1号と2号といいます。1号は数軒の旅館に使われ、2号は『さつき荘』という旅館の独自源泉で旅館以外には新しく出来た『足湯』に使用されています。この2号源泉、いわゆる黒湯(あるいは墨湯と呼ばれる?)の仲間です。黒湯というと一般にはモール系のクリアーな黒(実際には赤や茶色の暗い物が湯船だと黒く見えるのですが)が有名ですが、もう一つ硫黄系で湯ノ花の細かな粒子が濃いネズミ色で、「タオルが真っ黒になる」系の湯も黒湯(墨湯)と表現します。この正に「ネズミ色」の湯というのが2号泉なのです。この源泉、旅館のおとうさん自慢の湯で気象や時間によっていろいろな色(顔)を見せるのが特徴で大間の古い地層的な特徴(砂鉄が多く、そのため黒くなるのだそうです)をそのまま表しているとのことでした。
  源泉の総数は正確には大湯と新湯の源泉がそれぞれ2本、海辺地系が3本で全部で7本だそうです。


旅館のお風呂
つぼた屋   共同湯新湯前の旅館。下風呂の旅館は皆おかあさん方がきさくでのんびりして優しい方ばかりでここつぼた屋さんも例外ではありません。新湯の湯をひく湯船は98度の源泉がにじむようにじわじわ出ており、巧く湯量を調節することによって水を加えず入ることが出来ます。最初に入浴する時は浴槽の表面だけが98度の源泉の膜によって覆われ、ゲキ熱の時がありますのでご注意を。
   
500円
三浦屋   港の真ん前に立つ、目立つ旅館。湯船は光明石温泉と海辺地1号源泉と2つあります。特に硫黄は苦手という方が居る場合、さっぱり湯もアルのは大きいです。三浦屋さんは露天のみ白濁泉です。
   700円
長谷旅館   大湯の湯をひく、港の真ん前の旅館。共同湯ファンにはたまらない小さな湯船の前には北の港と大海原が視界に入り、夜は夜で入浴しながら烏賊釣りの漁り火を眺められます。お勧め。
  
300円
さつき荘   海辺地2号源泉の湯元を持つ独自源泉の宿。この湯はこの旅館に宿泊しないと入れません。山側の斜面を利用して建つ宿は、なんと源泉との関係もあり、湯船が2階にしかないという特異な宿です。源泉が山の斜面にあり、その高さのすぐ下に浴室を設けてあります。宿を縦に歩き抜け、一旦2階の奧から外に出て入り直す源泉から2bほどの距離の源直湯舟は家族湯形式の貸し切り制となっており、一人でグループで思う存分浸ることが出来ます。まるで自家泉に招き入れられたような隠れ家感は筆舌に難く、とにかく訪問して体験してくださいとしか言えません。
      
日帰り不可 宿泊7500円〜。



大湯
  こちら大湯は地元の常連さんが皆ものすごい長湯でなかなか画像を写すチャンスに恵まれなかったのですがなんとかものに出来ました。大湯の洗い場の傾斜はものすごいカントでちょっと踏ん張っていないと怖いくらいです。逆にトドには木の肌触りが良く傾斜も手伝って最高です。
  上述の通り大湯の方が白濁泉です。湯船はFRPのような不思議な材質ですが、かなりしっかりしており、滑ることもありません。
  いつも感じますが、青森は洗い場に洗面器が散らかっている確率が低いです。片づけてから出ていく人が多いのですね。(皆ではありません)


新湯
  同じく坂を上り詰めたドン突きにある新湯です。印象としてはこちらの方がこぢんまりした感じです。
  ここの洗い場はユニークで舟などに使われるFRPで覆われています。これが何となく「べかべか」した印象で踏むとへこむような気がして落ち着きません。
  浴室は正方形の間取りで湯船はきれいな相似の関係にあります。
   何となくどれもピントがあってない気がしてみんな貼ってしまいました。
  飲泉もできる源泉。95度と表示があるのであっついです。


<旅館編>


つぼた屋
  シンプル極まりない湯船と浴室。


三浦屋
  港の前に立つ、比較的新しい感じの旅館です。
  なんと浴室からもろに当研究所の移動研究室が見えていました。
  こちら海辺地1号泉の成分表です。
  露天はやや開放度が低いです。が、やはり風がダイレクトに入ってくるのはいいものです。


長谷旅館
  新湯に上がる道の角にある長谷旅館です。
  大湯2号泉の成分表。今回はつっこみませんでしたが、もし1号泉もあるとしたら、源泉は4本ではないのかも知れません。
  浴室の窓を開放した所。
  きもちよかです。


さつき荘
  温泉街の他の旅館群に埋没しているさつき荘。外観は本当に普通です。
  一旦裏に出たところ。察する所ここは物干し台の気がします。右の白い扉が浴室。左の背後の斜面は裏山。
  更に背後は幻の大間鉄道です。
  鉄道の下にある源泉。
  もとい、浴室の扉です。
  脱衣所から浴室。


   下:ファーストインプレッション。湯の表面に埃状の析出物がありました。
  なんとなく青っぽく写っている画像もありますが、黒に近い濃いネズミ色に写っているのが自然に近い色です。
   浴室はサンルームのような造りで内湯ですが、屋根は透明なプラのスレートで出来ています。
  湯船の造りも手作り感一杯でそもそも洗い場はあちこちかなり傾いています。まあ、そういうところも魅力の一つなのですが。
  一番自然な色に近い画像。黒湯っぽいです。




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